第5話 ときには真珠のように

【あらすじ】

BJの元に小包が届いた。開けるとそこには、棒状の石のようなもので覆われた一本のメスが入っていた。ただ一つ同封されていた紙に書かれたJ・Hの文字を手掛かりに、送り主が「本間丈太郎」だと思いいたる。少年時代に大怪我を負ったBJを、オペで救った命の恩人その人だった。何らかの意思を感じ取ったBJは、本間丈太郎医師を訪ねるのだった。

 

【思ったこと】

ブラックジャックで好きな作品の一つです。

棒状の石のようなもので覆われたメスは、BJの体内に置き忘れてしまったもの。

医療ミスの発覚を恐れ、体内に置き忘れたメスが他の臓器などを傷つけてしまうことを恐れ、7年後メスを取り出すことができた後も、BJ本人には伝えることができず、結局死ぬ間際まで先延ばしてしまった本間医師の人間臭さに、共感を覚えてしまいます。

 

また生命の神秘にも触れられている作品です。

肝臓の下に置き忘れられたメスは、7年間の歳月をかけ、BJの体内から染み出したカルシウムの鞘に保護される形で保管されていました。

 

BJが訪ねた時には、本間医師は床に臥せていて、余命幾ばくもない状況でした。

死期を悟った本間医師は、どんな医学も生命の不思議さにはかなわないと語り、BJの必死のオペも空しく息絶えてしまいます。

BJのオペは完璧だったのですが、天命には逆らえなかったのです。

 

「人間が生きものの生き死にを自由にしようなんておこがましいとは思わんかね・・・」

天に召された本間医師から慰められるBJが印象的な最後の場面、医師の存在意義を思い悩んでいたんだと思います。

 

合理的でクールで強欲、時にニヒリスト。

そんなイメージを世間から(作中の世界ではなく)抱かれているブラックジャックですが、医師とは?命とは?と思い悩む事も多く、そこがとても魅力的で、僕がブラックジャックを好きな理由だったりもします。