第一話 医者はどこだ!

以前から書こう書こうと思っていましたが、先延ばしにしていたのが、ブラックジャックについてです。よろしくの方じゃなく、手塚治虫先生の作品の方です。

リアルタイムの連載を読んでいた世代じゃないのですが、自分が中学生の時、ライフワークだった書店通いの際に巡り合った豪華版がきっかけで、以来30年近く愛読しています。

この豪華版のみ、何度も何度も読み返し、多感な時期にはブラックジャック(以下BJ)になりたい、とさえ思い詰めました。

豪華版はリアルタイムの連載順ではなく、順不同で(何らかの規則性があるかもしれませんが)編集収録されています。

豪華版の収録順に、独断と偏見で書評もどきを書いていこうと思います。

 

金持ち(大実業家のニクラ)=悪

貧乏(仕立屋のデビイ)=善

って図式で構成されている話です。自業自得の自動車暴走の末、大怪我を負ったニクラの息子を、BJがオペで救うことになります。そのためには肉体などの移植手術が必要で、デビイを意図的に死刑にし、移植の提供者に。背景と経緯を知っているBJがどんな判断をするのか、が読みどころの一つです。

 

結局のところ、BJはデビイに、ニクラの息子に似せた顔面整形を施します。ニクラには息子をオペで治したと偽り、オペで得た報酬をデビイに渡すのです。(ニクラの影響力が少ないと思われる)海外でやり直す資金として。

 

普段の言動から誤解されがちなBJですが、こうした粋な計らいをすることも多々あります。弱気を助け、強気を憎む精神というか。この話は倫理観無視、自己中心的だが金と権力があるニクラを、BJが鮮やかに裁いたところに爽快感があります。