第3話 奇形嚢腫
【あらすじ】
深夜にBJ宅の電話のベルが鳴る。横培病院の可児博士からだった。今夜を逃すと患者が死んでしまうオペの依頼だった。難色を示すBJだが、一方的に押しかけられオペをせざるを得ない状況になってしまう。とある高貴な身分の女性にできた腫瘍を切除するオペで、腫瘍は奇形嚢腫だという。今まで何度もオペを試みたが、立ち会ったものが突然おかしくなり、オペはいつも中止になってしまう。BJでないとできないオペだと言われ、オペに挑むBJだった。
【思ったこと】
ブラックジャックの重要キャラクター「ピノコ」の生い立ちが描かれた作品です。
奇形嚢腫は双子の片方が育ち損なって、もう片方の体に、できもののような状態で残ってしまうものを言います。
この作品の奇形嚢腫には、だいたいひとそろい人間の臓器が残っていて、オペ後BJは培養液で保存します。
完全人体に足りない部分は合成繊維で対応し、できたのが「ピノコ」です。
この作品を最初に読んだ時は、自分は中学生でした。
人体の内蔵やら脳やらの描写が生々しく、怖いもの見たさが先立つ読み方をした記憶があります。
今読み返すと(というか、かなり大人になってからも何度も読んでますが)、BJの優しさとか偏見の無さがじんわり表れている作品ですね。
ブラックジャックという作品は、「どんなに難しいオペもBJの天才的技術でたちどころに解決、めでたしめでたし」って単純なストーリーは少なくて、何がしかの余韻というか、読後に考えさせられる普遍的なテーマ、みたいなものが織り込まれているんですよね。
この辺りが大人になっても何度でも読み返せる「読返力(今作りましたw)」が強いと言われる所以です。
言われているか知りませんが。